2008年10月05日

書籍紹介

宮城谷昌光の三国志(7)

第七巻では、劉備がいよいよ蜀を手に入れる。
天下平定が曹操によって為されていたところに、ノーマークだった劉備が急に頭角を現した。

劉備は諸葛孔明を得てから、確かに大きく勇躍することになった。
孔明は未来への戦略眼を持って、大きな構想を描くことのできる能力が素晴らしいと感じるが、さらにもう一歩大きな視点でみると、本当に蜀の建国をやる必要があったのだろうか。とも思う。
大きな流れでいえば、曹操が天下を統一すべきであったし、その方が早く平和な時代が来たと思われる。それを邪魔したとも思える。

蜀ができあがり、三国時代が成り立った。
優秀な人間によって、各国が成り立ち、次のテーマは継承になってくる。

司馬懿の動きを注目したい。

三国志 第7巻 (7)
宮城谷 昌光
文藝春秋
2008-09

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

2008年09月25日

IT

モバイルビジネス・オープン化の流れ

◆総務省の「モバイルビジネス活性化プラン」
2007年1月~9月に総務省が「モバイルビジネス研究会」を開催し、同年9月に「モバイルビジネス活性化プラン」が発表されました


本検討を開始するにあたっての背景としては、モバイルビジネス市場は急速な成長期から次第に成熟期に移行しようとしていること。ブロードバンド化やIP化の進展による市場統合等が今後急速に進むことが見込まれる中、キャリアの垂直統合型ビジネスモデルに変え、オープン型モバイルビジネス環境を創出することにあったようです。

「モバイルビジネス活性化プラン」としては、2011年を目標として、大きな柱として3つ上げられています。
①販売モデルの見直し
・販売奨励金の見直しやSIMロック解除など。ごく簡単に説明すると、これが実現されることによってキャリアと携帯端末が分離されることを目指しています。iPhoneが7月に発売されました。現在はSoftBank契約者しか利用できませんが、どのキャリアでも利用できるようになるということです。
②MVNOの新規参入の促進
③モバイルビジネスの活性化に向けた市場環境整備の推進
・NGNなどの固定網と連携させたサービスを作るための、認証IDや位置情報、課金を共通利用できるプラットフォームの整備や通信端末や通信技術の共通化など、法体系も含めて総合的に整備していくということです。

◆2011年に向けての市場環境の変化
2011年を目標としているのは、以下のようなモバイル環境変化が見込まれているからです。
① 3.9GやBWA(Broadband Wireless Access)が実現または実現する方向で進み、固定系ブロードバンドに比肩する通信速度によるIPベースのサービスの本格的な展開が見込まれること
② 固定通信分野においてネットワークのIP化が進展し、固定通信と移動通信を統合的なネットワークで運用する次世代ネットワークの構築が進み、従来の回線交換網に代わり、IP網ベースのサービスが主流になると考えられること
③ 地上テレビジョン放送のデジタル化が進展しており、2011年7月の時点で現在のアナログ波による放送を停波し、放送のデジタル化が完了するとされていること

通信だけでなく放送の分野も含めて、これからの3年は大きく環境が変化していきます。また、キャリアの垂直統合型ビジネスモデルといわれている現状のビジネスモデルを崩していくという動きもおきています。
ちなみに、キャリアの垂直統合型ビジネスモデルをもう少し詳しく説明すると、「端末」、「ネットワーク」、「プラットフォーム(課金や認証、OSなど)」、「ポータル」、「コンテンツ・アプリケーション」のすべてのレイヤーをキャリアがサービス提供していることです。日本においてはコンテンツ・アプリケーションレイヤーはキャリア側に育成をしていこうという意図があったため、比較的コンテンツ・アプリケーションレイヤーはキャリアと独立して発展してきたように思えます。

◆携帯OSと海外勢の意図
海外の動きとして、気になるのは携帯向けOSのオープン化の流れです。googleのLinuxベースの「Android」、シンビアンOS、WindowsMobileなど、携帯OSに参入してきています。
市場規模だけでも、PCのユーザーは全世界で11億人だが、モバイル端末では、33億人と格段と多い。また、固定電話回線の施設費用にくらべて、モバイルインフラのコストは小さい。つまり今後の広がりから考えてもPCよりもモバイルの拡大の方が大きく見込まれる。そして、PCのような爆発的なWEB2.0的サービスが起きていないことを考えると、まだまだ世界的に市場が拡大していくと考えて、モバイルビジネスで最も進んでいる日本に参入してきたいと考えているのではないかと思います。
もしかすると、キャリアの垂直型ビジネスモデルを崩そうという意図の中には、こういった海外勢の意図も随分入っているのかもしれません。

◆変化の中で作っていくべき強みとは?
上記のような変化の中では、我々は今までと同じ考えで進めていくことは難しいと思います。
モバイルコンテンツビジネスで、重要だったのはキャリアの公式サイトになることであって、キャリアに企画を通すことでした。
そうすることの大きな意味はキャリアのポータルに掲載されることで大きな集客が見込まれたからです。
しかし、例えば、端末がキャリアから分離されたらどうなるでしょうか?端末メーカーが自らポータルを作り始めるかもしれません。そうなると、今までように大きな集客をポータルに頼むことが難しくなってくるでしょう。かなりビジネスの前提が変わってきます。

そんな中、企業として競争力を持って展開していけるための要素として、以下の3点が重要だと私は考えています。
①コンテンツ制作力②UI③データベースマーケティング・分析力
①のコンテンツ制作力は当然だと思われますが、実はモバイルにおける本当にユーザーの支持を受けるコンテンツとはどのようなものなのか?ということは、まだ出てないです。新聞、テレビというコンテンツ制作力を充分にもった分野からの本格参入も予想される中、それ以上のコンテンツ制作力を持っていこうとしなくてはいけないと思います。
②に関しては、あえて今まで問われていませんでしたが、iPhoneなどのリッチ・インターフェースのモバイル端末が登場してきたので、OSのオープン化とも合わせて、競争力の重要な要素になってきます。PCにおいて、MS-DOSからウィンドウズへ移行してきたことに似た現象が起きてくるのではないかと思います。
③のデータベースマーケティングは、ユーザーの求めるもの、今後現れてくる変化を科学的にとらえていく意味で重要な視点です。重要であることを認識して、徹底的に強めていく必要があります。今はコンテンツの料金設定も、各サイト別にあまり変化がないですし、ユーザーの嗜好性を分析してセグメントを発見していくよりも、大量のアクセスを集める方が重要だったりしますが、ある意味ざっくりで、勘で進めていて大丈夫だったものが、徐々に緻密に分析しなくてはいけなくなってきます。企業として分析力が他社との差別化の重要要素になるまで高めていきたいものだと思います。

以上、変化の中で作っていくべき強みについて考えましたが、さらにビジネスモデルとして、MVNOなども想定したプラットフォーム、ポータル事業へ進出していくことも当然求められますし、検討すべき事項かと思います。

2008年08月21日

書籍紹介

情報大爆発(秋山隆平著 宣伝会議)

最近、情報過多の時代という言葉を耳にすることがあります。ちょっと前は高度情報化時代ということが言われていましたが、情報化を越えて情報過多の時代に入ってきたようです。情報過多というのは、人間の脳が処理しきれない情報が毎日溢れて、そのストレスでADT(注意欠陥特質)という病気が発症するほどです。

米LexisNexisが米ホワイトカラー650人を対象にアンケートをとったところ、次のような結果が得られました。
・回答者の40%以上は,将来的な情報フローの増加に対処できないと考えている。
・ホワイトカラーは,1日当たりの平均的な就業時間である8.89時間のうち,7.89時間を調査,会議,以前に作成したドキュメントの検索にあてている。
・また1日の就業時間中,ホワイトカラーは平均2.3時間をオンライン調査に使っている。回答者の1割は,1日平均4時間以上をオンライン調査にあてている。
(IT Proの記事よりhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20080227/294885/)
もっとも、このアンケート対象者は250人の法律関連の専門家を含んでいるので、調査に多くの時間を取られている人が通常に比べると多いのかもしれないですが…。

しかし、確かにWEBを使って何かを調査しようとしたときに、なかなか情報に辿りつけなかったり、関連情報が多すぎて処理しきれなかったりすることは結構あります。
ユーザーとしては良質かつ必要な情報にいつでも辿りつけることが望ましいのですが、なかなか欲しい情報を得るまでにその他の多くの情報を処理しなくてはいけないです。
検索エンジンは、ユーザーが効率よく欲しい情報にアクセスすることのできるものとして生み出されました。しかし、検索エンジンを使いこなすためには、検索スキルが要求されます。もっともっと多くの情報がインターネットに溢れた時に、情報の生まれるスピードや、その情報量に今の検索エンジンで対応しきれるでしょうか?

アメリカの認知心理学者、ハーバート・サイモンという人が「情報過剰時代にはアテンションが希少になり、それを消費する 膨大な情報減に対して、アテンションを効率的に割り当てる必要が生じる。」と言っているそうです。つまり、情報そのものの価値はどんどん下がっていて、逆に情報を消費する側のユーザーの時間の価値がどんどん上がっていくということです。そう考えるとネットでは多くのトラフィックを稼いでいる検索エンジンが、現在、多くのユーザーの支持を受けているのもうなずけます。

しかし、今の検索エンジンでは今後の情報過多時代には対応できなくなることを見越して様々なところで、次世代検索エンジン、推奨エンジンなどが研究されています。
これらのエンジンで、ユーザーに情報を提供するための基礎データとなるのが、個人の行動履歴です。

米ではアテンション・トラスト(信託機構)というNPOができてます。このサービスはユーザーが自分のネット上でのすべての記録(ログ)をアテンション・トラストに信託して、別のマーケティング会社を通して、ユーザーログを企業に販売するということをしています。また、AttenTVというサイトを通して、会員通しのログを互いに見られたりもします。ユーザーは見返りとして、お勧めの情報をもらったり、ログの販売額の分配を受けたりするようです。

また、ユーザーの批判を受けたり機能的な課題もありますが、フェースブックではフェースブック・ビーコンというサービスも試されました。このサービスでは、フェースブックの会員がビーコンの埋め込まれたWEBサイトで何かの行動を取った場合、その行動データが有人たちに配信されるというものです。これは自分の行動履歴を有人たちに公開して、次のコミュニケーションのきっかけにしたり、友人たちから行動履歴に基づいたおすすめ情報をもらったりするという展開に繋がったりします。

情報過多の時代では、情報を発信する側ではなく、情報を受け取る側に主導権が移ってきます。情報の受け手に支持をされ、多くの時間を使ってもらえるサービスは、逆の発想になりますが、ユーザーがより効率的に時間を使うことができるサービスです。そのサービスを生み出すためには、ユーザーの行動履歴を抑えることができることが必勝戦略だと思われます。

携帯電話はライフログを取るには、非常に適したツールであるし、モバイルのキャリア主導のビジネスからオープン化の流れは押しとどめることは難しいので、早晩、モバイルの中でもユーザーは大量な情報にさらされるようになっていきます。個人的にはコンテンツや情報の価値は下がって欲しくはないですが、機能やシステム的にユーザーが情報の海から、いつでも欲しい情報を提供できるサービスは求められるものになると思います。今後も情報過多という現象については注目していかなくてはいけないと考えています。

  • インターネットという技術革新は、なんと、あらゆるメディアの物流面でのボトルネックを解消してしまった
  • その結果、UGCと呼ばれる消費者発信情報が激増してきた。そして、バリューチェーンの末尾に、新たなボトルネック、「アテンション」が出現してきた。
  • 獲得したアテンションの比率は、そのまま、広告収入の比率になっている。
情報大爆発―コミュニケーション・デザインはどう変わるか
秋山 隆平
宣伝会議
2007-10-15

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

2008年06月17日

書籍紹介

水滸伝(19)(北方謙三)

北方謙三の「水滸伝」を読了した。

水滸伝は、古典の方は読んだことがなく、北方の「水滸伝」を初めて読むことになった。登場人物は古典で伝えられてる人物を登場させているようだが、物語の内容は随分変えているようだった。

解説を読むと、キューバ革命をモチーフにしているようで、戦争だけでなく、諜報機関が登場しての情報戦や、資金源としての塩など、かなりリアリティのある内容だった。

2つのポイントが思い出される。

1つは「人材活用」。もう一つは「大将の器」。

人材活用について、
とにかく個性溢れる人材が登場してくるのだが、その個性を生かせているリーダーについては、かなり学ぶものがある。やはり言えることは、人間をよく観察して、そしてどのように活用するかを徹底的に考えていることだ。おそらく、人間の幸・不幸を分けるものとして、“自分の場所”を得られるかどうかという問題があると思う。個人としては、どのような環境でも、やれる限りの力を尽くすことは大切であるが、やはりその人が最も力を発揮できることは何かということをリーダーは考えたいものだと思った。


大将の器について、
宋江は大将であったが、本人は何かの能力に秀でている訳ではなかった。しかし、部下はその大将の下で、生き生きと活躍ができた。部下が安心して動けるというのは、大将が腹が据わっているということが重要。腹が据わっていない大将は部下から信用されない。そして、いつか、はしごをはずされるのではないか?という状況では、人は決して力を発揮しきれない。腹が据わってない人の特徴は“逃げる”ことだ。根本には信念が無いから、周りの環境に振り回され、失敗を部下のせいにしたり、面倒なことから逃げてしまったりする。腹が据わるためには信念があるのであれば、信念を強くする方向でリーダーは努力していきたいものだと思う。

水滸伝 (19) 旌旗の章 (集英社文庫 き 3-62)
北方 謙三
集英社
2008-04-18
関連商品:水滸伝 (18) (集英社文庫 (き3-61))
関連商品:水滸伝 17 (17) (集英社文庫 き 3-60) (集英社文庫 き 3-60)

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2008年05月15日

経営

フロントメディア取締役を正式に辞任しました

ご報告です。
昨日、臨時株主総会で後任の取締役が選任されたので、株式会社フロントメディア(http://www.frontmedia.jp/)の取締役を正式に辞任しました。

フロントメディアの創業は2005年6月で、僕は10月からお世話になっておりました。
当時はまだまだライブドアや楽天なども勢いがあって、ちょうどネット企業が放送局を買収しようということで騒がれていたという社会情勢でした。

それから数年たって、当時、時価総額経営ということでやっていたネット系企業の株価は軒並み下がって店をたたんでしまっているところも多くあります。
時価総額経営は、実を伴っていない場合、単なる借金型経営だなと感じます。

大雑把にゆうと、まず売上げがどんどん増えていくという事業計画を出して、株価を吊り上げて、その吊り上った株価で企業を買収し、売上げの嵩を増やしていくという経営手法です。かなり高度な経営にも見えますが、借金型のバブル経営です。いつかは崩壊するものです。企業を永続的に発展させたいと考える経営者であれば、避けるべき経営手法です。

我々が生きている日本の経済環境は資本主義で、自由な競争の中で、企業は日夜発展を目指しています。(一部、まだまだ自由競争になっていない、放送や農業という分野もありますが…。)自由であるので統計力学的な発想で考えるなら、一定の確率論で経済のあり方を見ることもできます。言葉を変えれば、みんな同じことをやろうとします。そして、同じことをやっている企業は競争原理の中で勝ち残ることはできないです。
では、他と同じことではない、全く新しいことをやろうとすると、市場の創造という苦しみもあります。

フロントメディアは常に新しいことに取り組んできた会社だったなと思います。
社長には創業時から声を掛けてもらって約二年半ほど非常に貴重な経験を積ませてもらいました。どんなに良い会社であっても、最初の3年ぐらいは、相当にぐちゃぐちゃするものだし、嫌なことなども経験をするものです。今から3年前に戻って、もう一度、やったとしたら、もっとうまくやれたかなあと思います。それが人間としての成長なのかなとも思います。

メンバーもこれから数十年ビジネスマン人生を送っていくであろう若い社員が多いので、今後のフロントメディアの発展とともに、単にスキルだけでなくて、人間学みたいなものもつかんでいってもらえればいいなあと思います。

関係者の方には、また、個別でメールなどを送らせてもらうと思います。

2008年04月21日

書籍紹介

水滸伝(四)(北方謙三)

梁山泊による叛乱の動きが展開しつつする中で、宋江は役人をいつ辞めるのかタイミングを計っていた。

こうゆう時はなんとも言えない力に動かされることになってしまったりする。
運命が動き始める瞬間がある。
なぜか、それまでは、うまく物事が進まないのに、ある時を境に自分が動かなくていけなくなったり、全然うまくいかなかったことが、うまくいきだしたりする。

宋江の場合は、きっかけは不幸な事件だった。

これらと関連して、なぜか知らないけど、「結果」と「過程」ということについて考えた。
世の中には、結果主義の人と、過程も重視しつつ結果を求める人がいる。

結果主義の人は、常に焦っている。この世界には、時間があるということを知らない。物事は種が播かれて、水をやって、果実が実るまでに、時間が掛かる。そのことを知らない。だから、オールオアナッシングで考えてしまう。

過程も重視する人は、結果を出すことを目指しつつも、その過程において、成長していったり、いろんな気づき得たりすることに喜びを感じる。だから、例え、不幸なことが起きても、それをステップに変えることができる。

宋江は、過程も重視するタイプの人間なのかなと思った。
また、これが人間の器の大きさとも関係しているのかなと思った。

器の大きな人間というと、勘違いしてしまうのが、清濁合わせ飲めるような人間だと思っていたり、人脈が広い人、と考えてしまうことがあるけど、本当はそんなことは表面的なもんなんだと思う。

水滸伝 4 (4) 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47) (集英社文庫 き 3-47)
北方 謙三
集英社
2007-01-19

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2008年04月16日

書籍紹介

水滸伝(三)(北方 謙三)

宋の国を裏で支える「諜報機関+暗殺実行部隊」の青蓮寺という組織がある。
この組織は国を保つために表には出てこないで、裏で様々な活動をしている。梁山泊も、この組織との情報戦が始まりつつあるのが三巻だ。

そもそもの問題は、役人が腐り、軍人が腐っていったところに問題はある。さらにその原因は皇帝が無能で、贅沢をし、政治に全く関心を持たないことにある。
そういったシステムでも、なんとか機能させようと裏の組織が動き出す。
また、別の流れでは、政府を打ち倒そうという流れも生まれる。

この2つのぶつかり合いがどうなるのかは、今後の展開によるのだけど、ここで考えさせられるのは、「正統性」という問題。

裏の組織が、実はいろんな問題を解決し、なんとか国のシステムを保つ役割をしている。という状況は、果たして、善いのだろうか?と考えてしまう。小説では“悪役”として描かれているので、読者はどうしても無批判に、裏の組織は消えればよいのに。と考えてしまうと思うが、単純にはそうは言えないこともある。

裏の組織のメンバーは、個人の利益などは、あまり考えず、国家のシステムを保つために、あえて悪役にもなり、汚い仕事もしているように見える。
しかし、やはり表に出てこないで、正統に権力を持つことが許可されてないものは、責任も取らない立場にいるため、長期的には、その存在そのものが国家を腐らせることになる。自分自身は、国家に必要だと思って動いていても、逆に、存在そのものが腐らせる原因になるからだ。

時に、こういった裏の組織を好む人間がいる。タイプとしては、楽な裏道を探したりや自分だけを特別視するようなタイプに多い。このタイプと正反対の人間の資質をあげるとすれば、それは“誠実さ”ということになる。

“誠実さ”は“正統性”に近い意味を持っていると思う。
自分が今、歩いている道や、今後歩こうとしている道が、正統なものであるか?それとも嘘や裏道的なものが混ざっていないかどうか?ということは常にチェックするとよいと思う。

人間には嗅覚がある。お金によく嗅覚が効く人間は、営業として向いていると思うし、新しい技術に嗅覚が働く人間は技術者に向いている。そして、人の上に立つ人間は、“誠実さ”とか“正統性”というものに対する嗅覚を持っていたいものだと思う。僕もいくらかの失敗を通して、それを強く感じている。

水滸伝〈3〉輪舞の章 (集英社文庫) (集英社文庫)
北方 謙三
集英社
2006-12-15

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

2008年04月13日

書籍紹介

日本は没落する(榊原英資)

最近、ある人に「経営スキルとして必要なものは何ですか?」と問われました。
僕は「あえて一つあげるとすれば、今、何が起きているか?そして、今後、どうすべきか?ということに対しての見識があって意思決定することではないでしょうか?」と、答えました。

今後、どうなるかについてはもちろんですが、今、何が起きているか?ということについても、実はよく分かっていないのが、我々です。本書はこのままでは没落するというテーマで、様々に起きている変化ややらなくてはいけないことについて書かれています。

大きな変化の一つとして、産業資本主義時代が終わった。と、言っています。これはいろんな人が言っていることでもありますが、それが現実化してきたということです。「金余り」の時代になって、大量の資本を持っている人が、資本を投下することでさらに富を生み出すことができた時代から、資本ではなく、知識・技術・情報を持った人のところに資本が集まり富を生み出すことにできる時代になってきたと言っています。

その時代に重要なのは、個人の知的な水準であり、その根底にある教育です。その重要な教育が「ゆとり教育」の名のもとに、徹底的に破壊されてきました。僕もまさに教育の低レベル化は、今後の国家の没落に繋がると思います。

また、国家として、エネルギー、外交、軍事(憲法9条問題)、食糧に関しての10年単位での戦略も持っておらず、その場その場の対応に追われてしまっている。と述べられています。

政治がコロコロ変わるので、なかなか10年スパンでの戦略も持ち得ないとは思いますが、榊原氏はその役割を官僚が担っていくのがよいと言っています。この意見に関しては、僕は一定の疑問を持っています。小泉首相や安部首相によって、官僚が主導を握る状況を修正してきましたが、官僚の罠で安部首相が退任に追い込まれ、その後、やってきたのが、現状の経済不振であることをみると、やはり小さな政府を目指して、民でできることは民に委譲していく方向にするべきだと思います。

榊原氏は、「公(パブリック)」の精神ということで述べられていました。官僚になる人間というのは、お金よりも公の役に立ちたいという思いで官僚になったと言っています。確かにその面はあると思いますが、根本思想として、戦後、日本は宗教を否定してきましたので、それに変わるものとして、共産主義を取り入れてきましたが、そこにあるユートピア思想があるのではないかと思いました。

共産主義は、中国やロシアをみると、超優秀な一部の人たちが国家を計画的にコントロールして、その元での平和を一般市民が享受するという運営形態を生んできたようです。よくも悪くも、共産主義が持っているユートピア思想を根底にもった世代は、パブリックの精神を持ちえたと思いますが、共産主義は完全に失敗だったことが、わかっている今、パブリックの精神を持って、国家の運営にあたれるのは、宗教的な教育を受けた人間以外はありえないと思います。そして、日本ではそのような教育はほとんどなされていません。
したがって、官僚が主導になって国家を運営していく形態は、国家の利益よりも、自分の利益、自分の省の利益を優先する形に陥ることになり、良い結果は生みません。

やはり、今後の国家戦略を生み出すのは、官僚ではなくて、民間のシンクタンクに移行させていくべきではないかと思います。

日本は没落する
榊原 英資
朝日新聞社
2007-12-07

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

2008年04月10日

ニュース

京都大学がネットで講義を配信

京都大学がYouTubeで、講義を配信することになったようです。
大学が講義をネットで配信する動きは、MITが先進的にやっておりましたが、京都大学も開始することで非常に良いことだと思います。今後も注目していきたいと思います。

京都大学オープンコースウェア
http://jp.youtube.com/KyoDaiOcw

2008年04月09日

書籍紹介

水滸伝(1)、(2)(北方謙三)

ある人の勧めで水滸伝を読み始めた。
ずっと気になっている本だったのだが、なかなか手をつけられていなかったので、良い機会なのでちょくちょく読むことにした。

時代は十二世紀の中国、北宋末期。

1巻では梁山泊の中心になるメンバーが全国で志を持ちながらも時間を耐えている時期だ。
目的があるんだけど、まだ機が熟してなくて、精神的にも不安定で、旗揚げに向けて、準備を続ける時代。
物事が始まる前は、誰でもこのような時期を過ごす。志はあるんだけど、無名で、孤独で、本当に未来は来るんだろうか?と疑いながらも、あきらめないで進めないといけない時期で、非常に重要な時期だと思う。この時期に徹底的に蓄積をすることで、それが自信に繋がって、物事が動き出したときには、あせらないで進めることができるようになる。

企業でいうのであれば、創業前や新規事業を始める前にあたる。
凡人は、準備をしないで、とりあえず一歩を進めてしまう。その結果、後の修正が大変になるし、ずっと先まで進める力を持っているのに、ちょっとしたところで挫折してしまうことになる。
よく、ビジョンをありありと描き、もう実現しているかのように語れるようになっていることは実現すると言うけど、準備期間に何度もシミュレーションしているから、それが可能になるのだと思う。

振り返って自分を見てみると、やはり最初の一手ばかりを思い悩んで、ずっと先の構想までのビジョン固めはできてないなあと感じる。
お金さえあれば、あんなことも、こんなこともできるのに、というタイプの人間は、やはり構想力が弱い。構想を深めていくともっと重要なことに思いが向いていくからだ。
風が吹き始めたなあと、思ったときは焦らず、しっかりビジョンを持つようにしたい。

2巻では、いよいよ動きはじめる。

ここでは、梁山湖に先に世直しのために集まっていた数千人を、7人でのっとるということになるのだが、先に集まっていた数千人は、構想力も弱く、とりあえず旗揚げをしていれば、いつか政府に対抗できるだろうと甘い観測で始めたために、自己保身におちいり、盗賊となり果ててしまった者たちだ。
そこへ、構想力をもった人間が現れたら、あっという間にのっとられてしまうし、その方が世の中の役に立つことになったりする。

テーマ設定をしてみる。
①独立する。
②上場会社を創る。
③100年は続く企業を創る。

発想が全然変わってくる。

水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)
北方 謙三
集英社
2006-10-18

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0
水滸伝〈2〉替天の章 (集英社文庫) (集英社文庫)
北方 謙三
集英社
2006-11-17

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0