最近、ある人に「経営スキルとして必要なものは何ですか?」と問われました。
僕は「あえて一つあげるとすれば、今、何が起きているか?そして、今後、どうすべきか?ということに対しての見識があって意思決定することではないでしょうか?」と、答えました。
今後、どうなるかについてはもちろんですが、今、何が起きているか?ということについても、実はよく分かっていないのが、我々です。本書はこのままでは没落するというテーマで、様々に起きている変化ややらなくてはいけないことについて書かれています。
大きな変化の一つとして、産業資本主義時代が終わった。と、言っています。これはいろんな人が言っていることでもありますが、それが現実化してきたということです。「金余り」の時代になって、大量の資本を持っている人が、資本を投下することでさらに富を生み出すことができた時代から、資本ではなく、知識・技術・情報を持った人のところに資本が集まり富を生み出すことにできる時代になってきたと言っています。
その時代に重要なのは、個人の知的な水準であり、その根底にある教育です。その重要な教育が「ゆとり教育」の名のもとに、徹底的に破壊されてきました。僕もまさに教育の低レベル化は、今後の国家の没落に繋がると思います。
また、国家として、エネルギー、外交、軍事(憲法9条問題)、食糧に関しての10年単位での戦略も持っておらず、その場その場の対応に追われてしまっている。と述べられています。
政治がコロコロ変わるので、なかなか10年スパンでの戦略も持ち得ないとは思いますが、榊原氏はその役割を官僚が担っていくのがよいと言っています。この意見に関しては、僕は一定の疑問を持っています。小泉首相や安部首相によって、官僚が主導を握る状況を修正してきましたが、官僚の罠で安部首相が退任に追い込まれ、その後、やってきたのが、現状の経済不振であることをみると、やはり小さな政府を目指して、民でできることは民に委譲していく方向にするべきだと思います。
榊原氏は、「公(パブリック)」の精神ということで述べられていました。官僚になる人間というのは、お金よりも公の役に立ちたいという思いで官僚になったと言っています。確かにその面はあると思いますが、根本思想として、戦後、日本は宗教を否定してきましたので、それに変わるものとして、共産主義を取り入れてきましたが、そこにあるユートピア思想があるのではないかと思いました。
共産主義は、中国やロシアをみると、超優秀な一部の人たちが国家を計画的にコントロールして、その元での平和を一般市民が享受するという運営形態を生んできたようです。よくも悪くも、共産主義が持っているユートピア思想を根底にもった世代は、パブリックの精神を持ちえたと思いますが、共産主義は完全に失敗だったことが、わかっている今、パブリックの精神を持って、国家の運営にあたれるのは、宗教的な教育を受けた人間以外はありえないと思います。そして、日本ではそのような教育はほとんどなされていません。
したがって、官僚が主導になって国家を運営していく形態は、国家の利益よりも、自分の利益、自分の省の利益を優先する形に陥ることになり、良い結果は生みません。
やはり、今後の国家戦略を生み出すのは、官僚ではなくて、民間のシンクタンクに移行させていくべきではないかと思います。
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日本は没落する
榊原 英資 朝日新聞社 2007-12-07 by [Z]ZAPAnetサーチ2.0 |
